論文の書き方
はじめに
これは所属する研究室のために作成した「卒業論文の書き方」の一部を抜粋したものです。体裁を中心にまとめていきます。文章の構成等についてはほとんど触れません。LaTeXによる論文執筆1を想定しているシーンが多いかもしれません。また、我流の部分が多いと思うので、半分は流してもらって構いません。所詮、ただの学生がまとめた内容なので誤りが多いと思います。
ここで説明する論文とは「自然科学の学術的技術文書」のことで、文学作品ではありません。研究の成果をいかに読み手にわかってもらうか、信用してもらえるかが重要です。研究が世の中で評価されるかは、研究の質、論文の質の積で表せると思います。ここで説明する論文の体裁はに影響するので、研究を評価してもらうためには重要だと思います。
体裁について詳しく、体裁以外についても知りたいなどの人は文献を参考にしてください。
論文の体裁
論文の体裁についてまとめます。
論文の構成
論文は次のような構成で執筆します。本文はIMRADと呼ばれる構成となります。
- タイトル
- アブストラクト
- 本文
- 緒言(Introduction)
- 実験材料及び方法(Method)
- 結果と考察(Result And)
- 結言(Discussion)
- 謝辞
- 参考文献
- 付録
緒言と結言の組み合わせには統一性が必要です。主に次の組み合わせがあります。
- 緒言---結言
- 緒論---結論
- 序論---結論
- はじめに---まとめ、おわりに、むすび
半角と全角
半角文字(英文字)と全角文字(和文字)について説明します。
- 英単語等や英数字は半角のアルファベットで入力します。
- 良:English、123
- 悪:English、123
- 文字間隔を空けるために全角スペース
- 丸括弧は統一する。半角括弧
()
はgやpなどのために少し下に長いです。全角括弧()
は括弧の高さが和文字と合います。このブログでも、僕が執筆する論文等でも全角括弧で統一しています。数式では半角括弧を使用すべきです。 - 句読点(カンマやピリオドなど)は統一します。句読点の組み合わせを紹介します3。
- 半角カンマ
,
と半角ピリオド.
:
句読点の後には必ず半角スペースを入れます. 句読点の前にスペースは入れません. 英文や数式とフォーマットを統一できます. - 全角カンマ
,
と全角ピリオド.
:
句読点の前後にスペースは入れません.技術文書ではこの組み合わせが多いです.僕が執筆する論文等でも,この組み合わせを採用しています. - 全角カンマ
,
と丸。
:
句読点の前後にスペースは入れません。公用文改善の趣旨徹底についてに定められていた組み合わせです。2022年1月11日に公用文作成の考え方で見直しされました。 - 点
、
と丸。
:
句読点の前後にスペースは入れません。和文の縦書きで採用される組み合わせと同じです。公用文作成の考え方に定められています。
- 半角カンマ
数式
数式を書く上での留意点をまとめます。
- 文中の数式は数式モード4を利用します()。
-x
のように直接入力するととなってしまいます。数式モードに入れない-
はハイフンとして処理されて短くなり、アルファベットはローマン体になってしまいます。数式モードの場合となります。 - 別行立ての数式は次式のように のように文の一部として句読点を付ける文化5があります。
- ベクトルや行列は太字にします(、)。
- 下付きのテキストはローマン体にします(良:、悪:)6。
- 単位はローマン体にします。また、単位の前には空白を入れます。やの前には空白を入れません(良:, 、悪:, , )。
表
表を載せる上での留意点をまとめます。
- 表のキャプションは上にします。
- フォントサイズは本文より小さくします。
- 表は参照したページの下に置きます。下に置けない場合は、次のページの上に置きます。
- 線は極力減らすべきです。このブログでも線が少ない表にしています。
日付 | 気温 |
---|---|
2/24 | 3度 |
2/25 | 6度 |
2/26 | 4度 |
2/27 | 2度 |
図
図を載せる上での留意点をまとめます。
- 図のキャプションは下にする。
- 文字サイズは本文より小さくする。また、英文字はサンセリフ体に、和文字はゴシック体にする方が望ましいです。
- 図は参照したページの下に置きます。下に置けない場合は、次のページの上に置きます。
- 写真等はラスタ画像で、グラフ等はベクタ画像で作成したほうが望ましいです。
謝辞
研究で受けた援助等がある場合に謝辞を書きます。たとえば、指導教員や研究室の他の学生に対する謝辞は次のようになります。
本研究におきまして,〇〇研究室の〇〇教授から多大なるご指導,ご助力を賜りましたことを深く感謝するとともに,心からお礼申し上げます.また,ご協力いただいた同研究室の各氏にも感謝します.
参考文献
参考文献の記述スタイルには次の表のものがあります。自分が所属する分野のスタイルを参考にした方がいいと思います。SIST 02は日本で定められた
- SIST 02:科学技術情報流通技術基準
- IEEE:米国電気・電子技術者協会(工学分野)
- NLM:米国国立医学図書館(生医学分野)
- ACS:アメリカ化学会(化学分野)
- APA:アメリカ心理学会(学際分野)
- MLA:米国現代言語協会(人文・社会科学分野)
付録
論文は本文中に記載できなかった補足資料として付録を付ける。具体的には、式の導出の詳細、従来手法の詳細、得られた実験データなどがある。付録は参考文献の後に付ける。
まとめ
論文の書き方と題して体裁についてまとめました。まだ具体例をもっとあげて内容を濃くしていきたいなと思います。
文献
- 木下是雄 “理科系の作文技術” 44版 中央公論新社2001
- 文化庁 “公用文に関する諸通知” リンク(参照2021-08-08)
- 文化庁 “公用文作成の考え方” リンク(参照2024-06-16)
- 科学技術情報流通技術基準 “参照文献の書き方” リンク(参照2021-08-08)
- 論文太郎 “科学技術論文の書き方” リンク(参照2021-08-08)