Daiji256

物事の写り方

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背景

視座視野視点といった言葉は物事の捉え方を端的に表す比喩として使われることが多いしかし最近ではこれらの言葉の定義自体を説明することが目的化しているように感じる

個人的には視座視野視点を物事を認識する過程を整理説明するための比喩として活用したいそして認識の過程を構造的に把握し意識的に制御できるような材料が欲しいと考えている

同じような目的を持つ人はどれくらいいるだろうかあるいは目的を見失っている人はどのくらいいるのかそのような漠然とした疑問がこの記事を書くきっかけとなった

はじめに

物事をどう認識するかというテーマをシンプルに考えるためカメラで写真を撮るという行為を比喩として用いる本質的には異なる行為であっても一定の共通点があると考えるからだそしてそれを視座視野視点と対応させられれば有用だと感じている

本記事では視座視野視点という言葉を用いて物事の捉え方をどのように整理できるかを考察するこれは個人の思考整理だけでなく複数人による議論や合意形成の場においても役立つ可能性がある認識のズレを言語化することで円滑な対話を促進できるかもしれない

写真と認識

カメラで写真を撮る

カメラで写真を撮る際結果に影響を与える要素は大きく3つに分けられる

1つ目はカメラ自体であるたとえばフィルムカメラとデジタルカメラでは色の処理方法が異なりそれによって写真の色味も変わるまた通常の一眼レフと魚眼レンズでは投影方式や画角が異なり写る範囲や明瞭さにも違いが生じるカメラが変われば写真も変わる

2つ目は撮影する位置カメラが同じでも被写体に近づけば細部が写り遠ざかれば全体が写る同じ対象でも正面から撮るか裏側から撮るかで写る内容が異なる

3つ目はカメラの向き同じカメラを同じ場所に置いたとしても山に向ければ山が海に向ければ海が写るどこにレンズを向けるかが写真の内容を大きく左右する

これらの違いを意識するとテレビ番組の撮影などもより具体的に理解できるプロのカメラマンはマニュアル操作のカメラで被写体にピントを合わせタレント自身は広い範囲を捉えるアクションカメラを身に着ける複数箇所からの撮影により同じ人物でもさまざまな表情を記録できる番組の裏側を映すためにあえてセット外にカメラを向けることもある

このように状況や目的に応じてカメラ位置向きを柔軟に選ぶ必要がある

人が物事を捉える

人が物事を認識する場合も写真撮影と同様に複数の要素が関係するカメラのように単純ではないが対応関係を意識することで整理できる

1つ目はそのものだたとえば英語の映画を観るとして英語が得意な人は内容を深く理解できるが不得意な人には断片的にしか理解できないあるいは同じ風景を見ても全体を把握する人と一部分に注目する人がいるこれは個人の視野に相当する

2つ目は立場同じ裁判を見ても弁護士と裁判官では見方が異なる弁護士は依頼人の利益に焦点を当てる一方で裁判官は全体のバランスや法律の適用に注目するこのような立場のことを視座とも捉えられる

3つ目は注視する対象会議の場面でも発言者の言葉に注目する人資料に注目する人参加者の表情や場の空気に意識を向ける人などそれぞれ異なる注視する対象を言い換えれば視点となる

比較

以下の表は写真撮影と人の認識を対応づけて整理したものである

人の認識は写真撮影よりもはるかに複雑である人間には多くの要因が影響ししかもそれらは無意識のうちに変化するそのため視座視野視点を意識的に整理し制御することには大きな意味がある

写真の要素認識における対応説明
カメラ視野能力や特性によってどう見えるか何が見えるかが異なる
カメラの位置立場視座どの位置立場から見るかによって見えるもの見方が変わる
カメラの向き注視先視点どこに意識を向けるかによって焦点となる情報が異なる

まとめ

物事の認識は誰がどこからどこに向かって見るかによって大きく異なるそれらは視座視野視点という形で分類できる

どのように物事を捉えたいのかを意識しこれらの要素を調整することでより適切な認識が可能となる社会やチーム活動においても視座視野視点を明確にすることは有効であるたとえば議論の場でどの立場から発言しているのかどの範囲を見ているのか何に注目しているのかを明確にすることで認識のズレを減らせる

最後に

Xでしたこの投稿ある種の言葉遊びに対する反射的な違和感から生まれたものだ自分の中で整理しておきたかったのだと思う

“視点” には、位置と向きをの情報がある。なので “カメラ” 基準であっても、これらのベクトルにより “被写体” が一意に決まる。このような背景から、“視点” を “被写体” として扱うこともある。俺はこういうイメージを持っている。世の中の人がいうほど複雑な話ではないと思うんだがな。 Daiji